東北ブロック大会inみやぎ2016参加報告

大会会場の様子より

 去る平成28年9月29日・30日の両日、宮城県仙台市で【東北ブロック大会inみやぎ】が開催され、当会より高橋会長が参加しました。

 講演や実践発表会など、大変密度の濃い日程でしたが、主な内容についてご紹介いたします。

参加報告

秋田県認知症グループホーム連絡協議会

会長  高橋 祐策


〜導入〜

 去る平成28年9月29日〜30日。宮城県仙台市で開催されました。

 大会テーマは『みんなで考えよう新たな認知症ケア〜グループホームでのより良い生活を支えるために〜』でした。

 参加者は260名余で、うち県外参加者は70名ほどということでしたが、介護報酬引き下げの度に組織率が下がり、介護人材不足が深刻な状況の中で、宮城県内から200名近い参加者があったことは、関心の高さと危機意識からだけでなく、大会を企画運営した18名の実行委員の方々の努力の賜物と思われます。

 大会第1日目は、主催者挨拶の後、職員表彰がありました。

 管理者3名のうち、秋田県より1名、また、職員11名のうち2名が秋田県より表彰されました。

【第1日目】

基調講演


 基調講演は厚生労働省認知症施策推進室 室長補佐 平井智章氏より、『グループホームの未来』として1時間の講演を拝聴しました。

 2025年に700万人と言われる認知症高齢者が予想される中で、グループホームは認知症ケアの拠点として位置づけされており、平成27年1月に発表された『新オレンジプラン〜認知症高齢者にやさしい地域づくりに向けて』において、その機能を地域に展開し、共用型認知症通所介護や認知症カフェ等の事業を積極的に行い、認知症の方や家族のために“早期発見”“早期治療”に繋がる拠点として期待されており、介護サービスの質の評価を更に高め、利用者の安全・安心の場としての確保を強化していく取り組みも期待されているとのことでした。

実践報告会

 午後2時30分から午後4時30分。

 3題のテーマでの実践報告会があり、それぞれ3グループの発表がありました。

 同じ会場での報告会ということもあり、分科会とはまた違い、参加者はじっくりと発表を聞くことができたのではないかと感じました。

 

 1つ目のテーマは、【人材育成】で昨今の介護人材不足で多くのホームが直面している実情が発表され、応募者が少ない中で離職者対策を従来以上に強化しているホームも多く見受けられました。

 職員の欠点より長所を伸ばす、叱るより褒める、陰口を禁止する等々、特別な方法があるというわけではなく、定着率の良いホームではコミュニケーション力の強化を図っているということでした。

 発表者で福島原発近くの浜通りにある某ホームでは、事故のため22名いた職員が8名になり、この8名の職員で18名の利用者の介護をしていたというエピソードに胸を打たれました。

 管理者が毅然としており、行政や地域のケアマネさんが見守ってくれ、職員の紹介等にも繋がり、現在は21名に職員も増員され、利用者も原発の避難者、津波による避難者4名を受け入れ22名の利用者にサービスを提供しているとのことでした。

 新しいホームが建っても人材不足で開所できない状況もある中で、努力をしていれば誰かが助けてくれるということを実践された貴重な報告でした。

 

 2つ目のテーマは、【不適切なケア】で、3名の報告者のうち、秋田県よりグループホームあぜみちの施設長 熊谷裕子氏が実践発表をされました。私もコメンテーターとして参加をさせていただきました。

 2つのグループホームが、ホーム内の排泄時やBPSDが進んだ利用者に対する不適切ケアに対して、適切ケアへの気付きや、日々の行為をパターン化し、その一つひとつの行為を分析して、どの場面で躓いたのかを探ることと、職員間で共有することが、次のステップにつながり適切ケアへの道を開くということでした。

 利用者本人のパフォーマンスを上げるため、2つのグループホームはホーム内の職員の資源を活用しているのに対して、秋田県の熊谷氏のホームでは、利用者がこれまで生活してきた「地域」へ利用者を積極的に交流させることで、地域資源を活用した取り組みにホーム内では見られない利用者本人のパフォーマンスが上がる事例として紹介され、グループホームの今後の進むべき方向を示唆している実践発表でした。

 

 3つ目のテーマは【疾患別の取り組み】で、2つのグループホームからの実践発表がありました。

 徘徊がある方であっても、交通ルールを守れて、家族の理解と地域の協力に寄って事故や行方不明になることなく散歩できるまでになったという発表には驚きました。

 また、BPSDがみられる常に目の話せない利用者への取組事例では、どんな時に不穏になるのか、できること、できないこと、できる可能性があること、時にできなくなっていること等をデータ化した結果、「3日以上排便がない時に不穏になりやすい」「悪天候11日間のうち9日間の不穏状態が続いた」などがデータ化された行動から発見され、「気分」という心理が「できること」に大きく関わっていることへの気付きがあったそうです。

 認知症という病気のために、それまで出来ていたことができなくなり、また、伝えることができなくなったためにイライラや不穏状態になることなどもわかるようになったそうです。BPSDへ根気強く関わり観察した結果チームケアに繋げられた事例でした。

記念講演

 第1日目の最後を飾った記念講演は、週刊朝日の記者の山本朋史氏が経験した軽度認知障害(MCI)についての講演でした。

 現在64歳で、60歳定年退職の頃から、物忘れが激しくなり、仕事にも支障をきたすようになり診察を受けた結果、「軽度認知障害(MCI)」とされ、現在も認知症早期治療に励みながら、仕事も続けられているそうです。

 ご本人はこの経験を伝えることで、「自分のように悩んでいる人に対し、また、誰でもなり得る病気でもあるため、マスコミを介して伝えていきたい」とおっしゃっていました。

 大変貴重な講演でした。

【第2日目】

記念講演

 認知症といっても、疾患別にアルツハイマー型、レビー小体型等々、医師の診断がありますが、講演された小坂先生によると、これまでレビー小体型の診断書は少なく、発見者である小坂先生の抗議を受ける一般の医師の参加者も少なく、正しい診断がなされているのか疑問だとのことでした。