平成30年2月14日(水)、秋田県中央地区老人福祉総合エリアにおいて、標記研修会が開催されました。
講師に、特定非営利活動法人コレクティブ理事長、全国小規模多機能型居宅介護事業者連絡会代表の 川原秀夫 氏をお招きし『グループホーム及び地域密着型サービスのこれから』と題して講演をいただきました。
「報酬改定から見る国の童虎」「これからの介護」「私の考える認知症の方の支援」「グループホーム及び地域密着型サービスのこれから」「地域共生への取り組み」など、いくつかのテーマに分けて、具体的なデータや実践手法を紹介しながら、大変分かりやすく、また
、経営者・管理者が何をすべきかがよく理解できる講演でした。
川原先生のご講演から、主なもの(認知症グループホームに関連するところ)を紹介します。
改定の大きな柱
Ⅰ 地域包括ケアシステムの推進
Ⅱ 自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現
Ⅲ 多様な人材の確保と生産性の向上
Ⅳ 介護サービスの適正化・重点化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保
〇看護職員を手厚く配置しているグループホームに対する評価を設ける
〇どのサービスでも認知症の方に適切なサービスが提供されるように、認知症高齢者への専門的なケアを評価する加算や、若年性認知症の方の受け入れを評価する加算について、現在加算が設けられていないサービスにも創設する
~認知症対応型共同生活介護~該当部分より
〇医療連携体制加算について、協力医療機関との連携を確保しつつ、手厚い看護体制の事業所を新たな区分として評価する
<現行>
医療連携体制加算 39単位/日
※GH職員としてまたは病院等や訪問看護ステーションとの連携により看護師1名以上確保
<改定後>
医療連携体制加算(Ⅰ) 39単位/日
※GH職員としてまたは病院等や訪問看護ステーションとの連携により看護師1名以上確保
医療連携体制加算(Ⅱ) 49単位/日(新設)
※GH職員として看護職員を常勤換算で1名以上配置。ただし、准看護師の場合は、別途病院等や訪問看護ステーション等との連携体制が必要
※痰の吸引などの医療的ケアを提供している実績があること
医療連携体制加算(Ⅲ) 59単位/日(新設)
※GH職員として看護師を常勤換算で1名以上配置
※痰の吸引などの医療的ケアを提供している実績があること
【改定事項】
1)入居者の医療ニーズへの対応
2)入居者の入退院支援の取組
3)口腔衛生管理の充実
4)栄養改善の取組の推進
5)短期利用認知症対応型共同生活介護の算定要件の見直し
6)生活機能向上連携加算の創設
7)身体的拘束等の適正化
8)運営推進会議の開催方法の緩和
9)代表者交代時の開設者研修の取り扱い
10)介護職員処遇改善加算の見直し
1)入居者の医療ニーズへの対応
<概要>
入居者の状態に応じた医療ニーズへの対応ができるよう、現行の医療連携体制加算は維持した上で、協力医療機関との連携を確保しつつ、手厚い看護体制の事業所を評価するための区分を創設することとする。
<単位数>
現行
医療連携体制加算 39単位/日
改定後
医療連携体制加算(Ⅰ) 39単位/日
医療連携体制加算(Ⅱ) 49単位/日
医療連携体制加算(Ⅲ) 59単位/日
2)入居者の入退院支援の取組
<概要>
認知症の人は入退院による環境の変化が、認知症の症状の悪化や行動、心理症状の出現につながりやすいため入居者の早期退院や退院後の安定した生活に向けた取り組みを評価することとする。
ア 入院後3か月以内に退院が見込まれる入居者について、退院後の再入居の受け入れ体制を整えている場合には、1月に6日を限度として一定単位の基本報酬の算定を認めることとする。
イ 医療機関に1か月以上入院した後、退院して再入居する場合も初期加算の算定を認めることとする。
<単位数>
アについて
現行
なし
改定後
246単位/日(新設)
イについて
現行
初期加算 30単位/日
改定後
変更なし
3)口腔衛生管理の充実
<概要>
歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士による介護職員に対する口腔ケアに係る技術的助言及び指導を評価した口腔衛生体制加算について、現行の施設サービスに加え、認知症対応型共同生活介護も対象とすることとする。
<単位数>
現行
なし
改定後
口腔衛生管理体制加算 30単位/月(新設)
4)栄養改善の取組の推進
<概要>
管理栄養士以外の介護職員等でも実施可能な栄養スクリーニングを行い、計画作成担当者に栄養状態に係る情報を文書で共有した場合の評価を創設する。
<単位数>
現行
なし
改定後
栄養スクリーニング加算 5単位/回
※6月に1回を限度とする
5)短期利用認知症対応型共同生活介護の算定要件の見直し
<概要>
認知症グループホームが地域における認知症ケアの拠点としてさまざまな機能を破棄することを促進する観点から、短期利用認知症対応型共同生活介護について、利用者の状況や家族等の事情により介護支援専門員が緊急に利用が必要と認めた場合などの一定の条件下において、定員を超えて受け入れを認めることとする。
6)生活機能向上連携加算の創設
<概要>
自立支援・重度化防止に資する介護を推進するため、新たに生活機能向上連携加算を創設する。
<単位数>
現行
なし
改定後
生活機能向上連携加算 200単位/月(新設)
7)身体的拘束等の適正化
<概要>
身体的拘束等のさらなる適正化を図る観点から、身体拘束廃止未実施減算を創設する。
<単位数>
現行
なし
改定後
身体拘束廃止未実施減算 10%/日減算(新設)
8)運営推進会議の開催方法の緩和
<概要>
運営推進会議の効率化や、事業所間のネットワーク形成の促進等の観点から、現在認められていない複数の事業所の合同開催について、以下の要件を満たす場合に認めることとする。
ⅰ 利用者及び利用者家族については匿名とするなど、個人情報、プライバシーを保護すること。
ⅱ 同一の日常生活圏域内に所在する事業所であること。
ⅲ 合同して開催する回数が1年度に開催すべき運営推進会議の開催回数の半数を超えないこと。
9)代表者交代時の開設者研修の取り扱い
<概要>
認知症対応型生活介護の代表者については、認知症対応型サービス事業開設者研修修了しているこことが必要であるが、代表者交代時に研修が開催されておらず、研修を受講できずに代表者に就任できないケースがあることから、代表交代時においては、半年後又は次回研修日程のいずれか早い日までに修了すればよいこととする。
一方で、新規に事業者が事業を開始する場合については、事前の準備期間があり、代表交代時のような支障があるわけではないため、代表者としての資質を確保する観点から、原則どおり、新規指定時において研修を修了していることを求めることとする。
10)介護職員処遇改善加算の見直し
<概要>
介護職員処遇改善加算(Ⅳ)及び(Ⅴ)については、要件の一部を満たさない事業者に対し、減算された単位数での加算の取得を求める区分であることや、当該区分の取得率や報酬体系の簡素化の観点を踏まえ、これを廃止することとする。その際、一定の経過措置期間を設けることとする。
その間、介護サービス事業所に対してはその旨の周知を図るとともに、より上位の区分の取得について積極的な働きかけを行うこととする。
※上記1)~10)については、詳しい算定要件等は、国が示す資料等から確認をするようにお願いします。
このほかにも、多くのお話をいただきました。
以下、見出しやキーワードを掻い摘んでご紹介します。
【新しい経済政策パッケージ】(平成29年12月8日閣議決定)
第2章 人材づくり革命
【居宅サービス事業所におけるICTの導入に向けた取り組み】
ICT化によるペーパーレス化の促進
【地域共生社会の実現】
【トランジッション(移行、転換)】
現状を如何に捉えるか
【オランダ~ビュートゾルフ】
新しい組織モデル、ケア提供モデル
2007年に1チーム4人のナースでスタート
全国850の独立チームで約9,000人のナースが働く(2015年)
家庭医と協働してコミュニティケアを提供
バックオフィスに45人のスタッフ、15人のコーチ
年間7万人以上の患者
費用は他の在宅ケア(訪問系)組織の半分
【ヴィジョン:自立支援(玉ねぎモデル)】
介護人材確保の目指す姿~「まんじゅう型」から「富士山型」~
【パーソンセンタードケアの実践】
【ツールとしての私たち】
【地域で暮らし続けられる拠点を!】
「地域にこだわる」と「地域共生」へ
共生型サービスも始まる
地域共生社会へ
←介護人材の不足
←限られた地域の資源
【「地域ささえ愛プラン」は、「福祉の総合化」に加え、「福祉とまちづくりの融合」を図っている(熊本県資料)】
当日は川原先生の講演に、間もなく迎える平成30年度報酬改定や、認知症ケアを取り巻く環境の変化に対応すべく、参加された方々は熱心に耳を傾けたり、メモを取ったりしながら臨んでいました。
※当日の講演資料をご希望される方は、事務局までご相談ください。